「春になれば、少しは楽になるはず」
そう思いながら2月の帳簿を眺めていたとき、私の手が止まりました。売上324,180円に対して、損益はマイナス43,310円。FL比率(食材費+人件費の比率)は69%。飲食店の理想は55〜60%以下とされているので、これは相当な赤字です。
私は家族が経営する食堂の経理を担当しています。数字を見るたびに「何かを変えなければ」という焦りがありました。でも闇雲に動いても意味がない。だから今回は、春夏シーズンに向けた具体的な黒字化戦略を3つに絞って整理しました。
飲食店を経営している方、または経理・経営に関わっている方にも参考になれば嬉しいです。
まず知っておきたい:春夏になると何が変わるのか
冬と春夏でもっとも大きく変わるのは、固定費の構造です。
私が担当している食堂では、冬季は灯油代が月に3万円近くかかっています。しかし春夏はこれがほぼゼロになります。その結果、月の固定費が約17万円まで下がる見込みです。
つまり、春夏の黒字ラインは1日あたり約1万円の売上があれば到達できる計算になります。これは冬よりも明らかに達成しやすい条件です。
ただし、「固定費が下がるから何もしなくていい」ということにはなりません。条件が良くなった春夏こそ、攻めの施策を打つべきタイミングだということです。
戦略1|高利益メニューを「前に出す」
私たちの食堂で数字を分析したとき、あるメニューが圧倒的な収益性を誇っていることがわかりました。
それがカツ煮定食(1,200円)です。原価率はわずか21%、1食あたりの粗利は約950円。
一方で、よく出ているからといって安心できないメニューもあります。原価率が40%を超えるものが複数あり、量が売れても利益に直結しないケースがあったのです。
やるべきことはシンプルです。
- メニュー表でカツ煮定食を目立つ位置に掲載する
- 「おすすめ」「人気No.1」などの一言を添える
- 日替わりランチの候補として優先的に組み込む
お客さんに「選んでもらう」設計を変えるだけで、同じ客数でも売上と利益は変わります。メニュー表はそれ自体が営業ツールです。
戦略2|曜日ムラをなくす「弱い曜日対策」
客数データを確認すると、日によって3〜6人しか来ない日と、20人を超える日が混在していることがわかりました。この波を小さくするだけで、月間売上は安定します。
特に来客が少ない曜日には、以下の対策を検討しています。
① 日替わりメニューで「来る理由」を作る
「今日は何かな?」という期待感が、リピートのきっかけになります。週に2〜3日、特定曜日限定の一品を設けるだけでも効果があります。
② 常連さんへの声かけ
「○曜日はホルモン定食が出るんですよ」と一言添えるだけで、曜日を意識した来店につながります。広告費ゼロの口コミ集客です。
③ SNSやGoogleマップ投稿を曜日に合わせて活用
週に1回の投稿でも、「今日のランチ」として写真を上げることで新規客が動きやすくなります(詳しくはvol.4で解説)。
戦略3|原価率44%を35%以下に近づける「食材の見直し」
2月の原価率は44%でした。飲食業の理想は30〜35%。この差を埋めることが、黒字化への最短ルートです。
ただし、ここで「全体的にコストを削ろう」とするのは危険です。品質が落ちれば常連さんが離れます。大切なのは「使いどころを選ぶ」こと。
- 粗利の高いメニュー(ホルモン定食・カツ煮定食)の販売比率を上げる
- 原価率が高いメニューは週のうち限定日に絞るか、価格を見直す
- 食材の仕入れロスを減らす(週の使い切りを意識した献立設計)
私が特に注目しているのはホルモン系メニューです。ホルモン定食は原価率16.7%、粗利は1,000円を超えます。1食売れるごとに1,000円の利益が残る計算なので、このメニューをどれだけ出せるかが鍵になります。
まとめ:春夏こそ「攻める季節」
固定費が下がる春夏は、飲食店にとってチャンスのシーズンです。しかしそれは「何もしなくても黒字になる」という意味ではありません。
今回の3つの戦略を整理すると、
- 高利益メニュー(カツ煮定食など)を前に出す
- 弱い曜日に意図的に集客の仕掛けを作る
- 原価率の高いメニューを見直し、利益率の高い構成に変える
どれも大きな投資は不要です。今あるものを「正しく使う」だけで、数字は変わります。
次回vol.4では、Googleマップを使った無料集客の具体的な5つの方法をお伝えします。地域密着の食堂だからこそ使えるSEO的アプローチです。ぜひ合わせて読んでみてください。
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